切り替えから始める英語学習 (2)

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 「僕は中学までの英語力しかなくて会話などまったく無理だと思うんです。」とマサヒロさんは続けた。

 「中学での英語の成績はどうでしたか?」と校長が聞くと普通だったと答えた。

 「普通の成績だったら大丈夫です。そのカンファレンスの参加は大成功しますよ。」というとマサヒロさんは驚いて、

 「え?本当ですか?文法などもう殆ど忘れていますよ。もちろん単語も。ビジネス英語が何だかも私は理解していないです。」とマサヒロさんが言うので校長はなぜ大丈夫かを説明した。

 「中学英語は日本に住む日本人にとって英語の基礎です。その基礎が普通の成績だったら後はそれを基に一気に飛躍させる方法をお教えします。もちろん、ペラペラだとか達人レベルの話ではないです。今回のグーグル・カンファレンスに必要なレベルの英語という事です。」

マサヒロさんはとても明るい表情になった。しばらく話しているうちに今回のマサヒロさんの目標が明確になった。それらは、

    • 空港でチェックインできる。ホテルでチェックインできる。
    • 自己紹介ができる。相手の仕事などについて質問できる。
    • レストランで細かい事でも注文できる。
    • 自分が理解できるように聞き返す方法。
    • そして決め手は、困った時のピンチの切り抜け方だった。

 マサヒロさんはこれだけ6週間でできるのなら夢のようだと言った。校長はそれは夢ではなく必ずできるし、私が保証しますとまで言った。 「結果は保証しますよ。ただしあなたと私で決めたやり方を忠実に守ることだけが条件です。」

 マサヒロさんはこれだけ6週間でできるのなら夢のようだと言った。校長はそれは夢ではなく必ずできるし、私が保証しますとまで言った。 「結果は保証しますよ。ただしあなたと私で決めたやり方を忠実に守ることだけが条件です。」

 マサヒロさんはすぐに入学の手続きをして毎週3回、6週間、合計18回の特別レッスンを受講することになった。18回のレッスンで大丈夫ですかと言うマサヒロさんだったが、校長は、 「レッスンは18回ですが、あなたは今日から42日間勉強できますよ。毎日の通勤の往復、昼休み、帰宅後などにスキマ時間を見つければだいたい1日3時間は英語の勉強ができます。それを42日間すれば126時間です。それは90分授業を84回受けるのと同じ量です。さらに教室でのレッスンが27時間あってそこでは練習を繰り返します。それは飽きるほどリピートします。そしてあるティッピング・ポイントを超えた時、頭の中で考えることなく英語で聞いて英語で応えることができるようになります。

 マサヒロさんのレッスンは翌日から始まった。彼はレッスンをすべて携帯電話に録音して、メモを取り通勤電車の中でメモを見ながら録音したレッスンを繰り返し聞いた。彼はこれを忠実に6週間続けた。

 

自己紹介、レストランでの注文など、どのレッスンも実際に使われているダイアローグから教材が作られておりそれを基に対話の流れのパターンを体で覚えた。例えば自己紹介なら校長がスティーブ・ジョブスでマサヒロさんと初対面で握手から会話が始まるというシナリオを書いてその中でエンジニアが使いそうな表現、スティーブ・ジョブスが聞きそうな質問などを盛り込んでマサヒロさんがレッスンに興味を持つように工夫した。学びのモチベーションにはいろいろあるが、こういうレッスンの場合一番効果的な事は学ぶ人の興味や環境に関連する題材を使うことだ。抽象的な解説や参考書のようなレッスンではマサヒロさんの中に入ってこない。テクノロジーの事や彼の仕事や会社に関する会話が織り込まれているとマサヒロさんはその部分に関してはフィクションではなく、自分のリアル・ストーリーを語り始める。この手法ならレッスンが終わって教室を出たあとでもマサヒロさんの印象に残る。次のレッスンの時に前回の内容を覚えているので次への移行がスムーズだ。もちろんマサヒロさんは一流のエンジニアなので記憶力も理解力も平均以上だがそれよりも「入ってくる」という言葉のニュアンスを彼は掴んだ。

 ランチタイムに自分の名札の付いた丸い大きなテーブルを見つけて席についた。隣に座ったのはさきほどの外人だった。「やあ、久しぶりだね」とほんの1時間ほど前に会ったばかりなのにさすが外人のジョークは上手いなとマサヒロさんは思った。ところでさっきは話し込んで名刺交換もしなかったからここで改めて、と言ってお互いの名刺を出した。外人の名刺にはグーグル副社長という肩書があった。マサヒロさんは何度もその肩書を読み直した。自分が会話した人がグーグルの重役だったなんて。その場で日本の会社に電話して外人とのツーショットを写メで送りたい気持ちになった。ランチテーブルでは外人とさらに会話は弾んだ。その他の人たちとも名刺交換をして大手テクノロジー会社の重役やエンジニアの多くと出会うことができた。

サンフランシスコから戻ったマサヒロさんは英会話教室を訪れた。

 「どうでしたかグーグルのカンファレンスは?」と校長が聞くと、

 「最高でした。ここでやったレッスンのままの状況がたくさん出てきて、練習の時と同じように会話できました。レストランでの注文もバッチリ! サラダ・ドレッシングの種類を聞かれてもすぐに答えられたし、何よりランチの時に隣に座った人がグーグルの重役だったのにはビックリしました。もちろん、名刺交換してきましたよ。会社にはとても良いお土産と報告になりました。」と彼は良い成績を取って先生に褒められた小学生のように校長に報告した。

 英会話スクールの校長がマサヒロさんに教えたのは英文法でも難しい単語でもない。それらはインターネットでいくらでも探せる。すでに辞書を買わなくても携帯電話からかなりの事を調べることができる。マサヒロさんが学んだのは英語を身につけるために必要な考え方とその実践法だけだった。もちろん教材の中で単語やフレーズに工夫がしてあるので新しい発見もあるがそれらはスパイス的に織り込んであるだけで単語、フレーズ、文法を覚えるのが目的では無かった。考え方を変えると確かに英語をツールとして認識できて、予想もできなかった効果が得られるが、マサヒロさんにとって一番大切な事は自信を付けることだった。中学英語しかないからアメリカ人と対等に会話できないとか、難しい単語を使われたり、リスニングがついて行けなくなったらどうしようという恐怖心をワイプアウト(払拭)させたのだった。 つづく。。。

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