直訳せずに意訳する

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 日本人が英語を使えない原因の一つに一語一句を正確に訳そうとしてしまうことがある。確かにビジネスや法務、医療などでは正確さを要求される場面もある。しかし、普通の生活ではそれほど問題にならない。正確さを追求するあまりに対話のスピードに付いて行けずに話が進まないことが多い。たとえば仮定法という文法である。仮定法についてここでは詳しく説明しないが、誰もが一度は通る道で、仮定法過去、仮定法過去完了、仮定法未来、仮定法現在などのパターンがある。これらはすべて日本語にも同じパターンがあり、日本人は普通に使い分けている。仮定法の基本には時制のルールというものがあって、

「時制の基本ルール」

  • 現在のこと → 過去形 study(原形)→ studied(過去形)
  • 過去のこと → 過去完了形 study(原形)→ have studied(過去完了形)

 これをパターン化して丸覚えし、そして繰り返し練習すれば誰でも仮定法を使いこなせる。しかし、ここで日本人の英語はまず仮定法過去なのか現在なのかまたは過去完了なのかを使いわけろと学校で闇雲に教えられてきたので実際の会話では戸惑う人が多い。

 面白いことにこういう「文法に戸惑う」のは日本人だけということだ。中国、韓国、その他のアジア系民族は文法について戸惑うことは無い。間違いまくっていてもまずは言葉に出す。そして、無理やりでも相手に通じるように食い下がる。間違った文法など何とも思っていない。英語が母語ではないのでよく知らなくて当然という考え方だ。お国訛りというか、発音もイントネーションも文法も独自のものを持っている。

 私が最初に海外で触れた英語はシンガポールだった。彼らの話す英語をシングリッシュという。(Singlish = Singaporian English) シンガポールの公用語は英語だ。もともとイギリス領だったので教育はすべて英語だった。しかし、人口の3分の2近くは中国系なのでマンダリン(北京語)と福建語(方言)、隣接する国マレーシアのマレー語そしてタミール語の4言語が公用語として街中で使われている。私がシンガポールに住んでいた70年代後半では、英語、中国語(マンダリン)、マレー語の3つの言語をマスターし、テストに受からないと大学へは進めないシステムだった。テレビも新聞もすべてが英語であった。

 しかし、シンガポールの英語はシングリッシュだ。中国語のイントネーションや発音を英語とミックスした不思議な言語。イントネーション(抑揚)に関しては他のどの国にも無いようなリズミカルなものだ。さらに、ほとんどの文末に”Lah” (了)という単語がつく。OK, la, No la, I’m fine la……という具合に。中国語で「了」(ら)とは~だった、または~だという意味。「Can not lah !」「OK lah !」「Never mind lah !」といった具合に、語尾に「lah(ラ~)」がつくのもシングリッシュの特徴の1つ。「lah」に特に大きな意味は無く、「Can not」=「出来ません」に「lah」が付くと、「Can not lah !」=「出来ないよー! 」といった感じ。そしてシングリッシュのままイギリスなど母語が英語の民族とコミュニケートしている。そこには細かい表現の違いなどはどうでも良くて通じることが最優先される。

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