「大人になってからの英語は無理」は間違い。

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 私の母は7歳の時に終戦を迎えた世代。神戸の空襲で家を焼かれ着の身着のまま雨のごとく降ってくる爆弾の中を逃げ惑った。ある時神戸の山手を一人で歩いているときに米軍の戦闘機に襲われ機銃掃射された。必死に走って逃げたのでなんとか助かった。そんな時代を生き抜いて来たので英語を学ぶチャンスはあまりなかった。時は流れ1970年代に私たち一家は大阪からシンガポールへ移住した。父の仕事の大半が東南アジア向けの輸出だったのでこの際仕事も家庭もシンガポールへ移すという決断に至った。その年母は40歳だった。アルファベットの順番さえ最後まで言えないくらいの英語力のまま家族とシンガポールへ移住した。四十の手習いとはこのことだと母は言い、家庭教師を付けて英語を学びだした。

最初は食料品の名前を英語で覚えた。野菜、肉、魚、その他毎日買うものをノートに書きだし発音して覚えた。やがて会話のパターンをいろいろと覚えて使いこなした。過去形、現在形、未来形の使い分けをきちんと守っていた。時制を間違うとストーリーとして成り立たないというのが母の持論だった。それまで父は英語がかなり堪能だと信じていた私のイメージを母の英語はみごとに打ち砕いた。

父の英語は文法も単語の使い方もけっこう適当だった。それを見ていた母は、よくそんな英語で商売できるわねと言っていたのを覚えている。シンガポールへ移り住んで2年もすると母の英語力は格段に向上した。おそらく日本で英会話学校へ通う上級クラスの人とほぼ同じレベルだった。たしかに環境が英語なので話せるようになって当たり前だと言う日本人もいたのだが、実際はそうではない。いくら英語の環境に住んでいても努力無しでは上達しない。よく日本人が思っているように英語圏に1年も住んだら英語はペラペラになるというのは間違っている。逆にもう年齢も年齢だから今から英語は覚えられないという考えも根拠のないものだ。環境、年齢、学歴、学力などは2次的要素であり、なにより、興味をもって努力することが英語習得にとって大切である。

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